「語呂(ゴロ)がいい」文章は読んでる人が心地よく感じます。
今回は相手に文章を心地よく読んでもらうための、語呂=リズムのいい文章の
書き方について紹介します。
文章をリズムで読ませる
文章を書く仕事をしている人(ブロガー、ライター、会社のプレゼン資料の作成)で
内容までしっかり読んでもらえない悩みを持つ方は多いです。
そんなあなたの悩みは語呂のいい文章にすることで解決するかもしれません。
そもそも語呂とは…
ご‐ろ【語呂・語路】
①言葉を発音した時のつづきぐあい。口調くちょう。「―がいい」
②「語呂合せ」の略
出典:広辞苑
②の語呂合わせは試験勉強で年号や、
企業の電話番号などの数字を覚えやすくするアレです。
例.1192年(いい国)つくろう鎌倉幕府
では①の「口調がいい」とはどういうことなのか。
それは思わず声に出したくなるような リズム感 があるということです。
人は、実際に声に出さなくても頭の中で文章を読み上げています。
そのとき無意識に読み進めてしまう場合は文章にリズム感があることが多いです。
これが【語呂がいい】ということです。
リズムは五・七・五【俳句】
語呂のいい文章の代表として「俳句」を例にあげます。
俳句や川柳は五・七・五の十七音でつくられた文章ですが、
この五・七・五が日本語としてとても心地良い語呂になっています。
すずめの子 そこのけそこのけ お馬が通る (小林一茶)
古池や 蛙(かわず)とびこむ 水の音 (松尾芭蕉)
この2つの句は日本人ならだれでも一度は聞いたことがある俳句です。
どちらも最初の五音を読んだ後にすぐに次の七音、そして最後の五音を読み進めたく
なったのではないでしょうか。
リズムのとりやすい文章は意味を考えるよりも先に、
声に出して読むことを優先させたくなります。
そして、読み終わったあとでこの俳句はなにを伝えたいのだろうと、意味を考えることになります。
音を聞く→意味を考える→理解する
俳句は五・七・五のすべてがあってこそ意味が通るものです。
俳句に限らず、必要な情報を書いた文章(メールなど)は全文を読んでもらえなければ
伝えたい内容が伝わらないことがほとんどです。
まずは読んでもらうことを優先し、リズム感をもたせることでひと通り読ませる。
そのあとで相手に内容の理解を促すことが大切です。
言葉の反復による強調【ダジャレ】
「ダジャレ」はだれもが一度は言ったこと、聞いたことがあるものです。
特に意味が無く、言ってしまえばとてもくだらないのがダジャレです。
しかし、ダジャレが耳に残るのはなぜでしょうか。
布団が吹っ飛んだ
アルミ缶の上にあるミカン
だれもが一度は耳にするダジャレ界のツートップです。
ダジャレは、ある言葉と同じ音(同音異義語)の言葉を続けることでつくられます。
この同じ音を繰り返すことが私たちの耳に残る原因です。
同じことを繰り返す表現方法を反復法といいます。
反復法を使うことで、その言葉を強調し読み手(聞き手)に
より強く印象付ける効果があります。
ラップの「韻(いん)を踏む」もダジャレと同じ原理です。
同じ音を続けることでリズム感が生まれ、相手に耳から言葉の
印象を伝えることができます。
間で相手に聞かせる【落語】
最後の例は「落語」です。
落語は俳句やダジャレにくらべると身近に感じない人が多いかもしれませんが
下の落語は聞いたことがあるのではないでしょうか。
寿限無(じゅげむ) 寿限無(じゅげむ) 五劫(ごこう)のすりきれ 海砂利(かいじゃり)水魚(すいぎょ)の水行末(すいぎょうまつ) 雲来末(うんらいまつ) 風来末(ふうらいまつ) 食(く)う寝(ね)るところに 住(す)むところ やぶらこうじの ぶらこうじ パイポ パイポ パイポの シューリンガン
シューリンガンの グーリンダイ グーリンダイの ポンポコピーのポンポコナの 長久命(ちょうきゅうめい)の長助(ちょうすけ)
出典:寿限無
これは古典落語「寿限無」に登場する一節です。
寿限無の内容についてはここでは割愛しますが、この長い文章は登場人物の男の子の名前です。
一見難しい言葉が並んでいて読みづらいと思うかもしれませんが、一度読み始める(聞き始める)と
耳に残り、気づいたときには自分の口で声に出しているのではないでしょうか。
落語は読み物ではなく、語りを聞かせるものです。
だからこそ、聞き手が心地よいリズムで話す必要があります。
落語でもっとも重要だとされるのが間です。
落語家の実力は間のとり方で決まるとも言われています。
間は言葉と言葉のあいだにある空白です。
この空白が聞き手にひと呼吸つく時間をあたえ、リズム感を作り上げています。
頭ごなしに怒涛の勢いで叱られるよりも、諭されるように時間を
あたえられて叱られる方が反省の気持ちが生まれるのと同じです。
先ほどの寿限無はテンポよく長文を話しているように思うかもしれませんが
一定の言葉の節目に「間」があります。
最後に寿限無の「間」の部分に / を入れたものを紹介します。
寿限無(じゅげむ) 寿限無(じゅげむ) 五劫(ごこう)のすりきれ / 海砂利(かいじゃり)水魚(すいぎょ)の水行末(すいぎょうまつ) 雲来末(うんらいまつ) 風来末(ふうらいまつ) / 食(く)う寝(ね)るところに 住(す)むところ / やぶらこうじの ぶらこうじ / パイポ パイポ パイポの シューリンガン /
シューリンガンの グーリンダイ /グーリンダイの ポンポコピーのポンポコナの / 長久命(ちょうきゅうめい)の長助(ちょうすけ) /
出典:寿限無
文章校正にオススメ
あなたの文章をもっと読みやすく。文章作成アドバイスツール【文賢】
日常の文章をリズムよくするには【実践編】
では、メールやブログ記事の文章をリズムよくするにはどうしたらいいのか。
俳句のように五・七・五の文章を意図的に文章に入れるのは難しい…
反復した表現は強調するには最適だけど、使いすぎるとクドい表現になってしまう。
読み手に文章のリズムを誘導するのに簡単で最適なのは
【句読点(、。)を使う】と【短文を心がける】ことです。
句読点(、。)で区切りをつけて読みやすくする
【句読点(、。)】は文章に区切りをつけるために使います。
まずは句読点の無い下の文章を見てください。
こんにちは
昨日はお忙しい中相談に乗っていただきありがとうございました
美味しいご飯までごちそうしていただき本当に楽しかったです
田中さんの貴重なご意見が聞けたので今後の私の仕事に活かしていてきたいと
思います
都合がよろしい日にはぜひまたご一緒にお食事でも行きましょう
今後ともよろしくお願いいたします
食事に行った方への簡単なお礼のメールです。
長文では無いのでそれほど読みづらいと思わないかもしれませんが
「美味しいご飯…」の部分はひと息で読むには少し長いと感じると思います。
それではこの文章に句読点を付けてみます。
こんにちは。
昨日はお忙しい中、相談に乗っていただきありがとうございました。
美味しいご飯までごちそうしていただき、本当に楽しかったです。
田中さんの貴重なご意見が聞けたので、今後の私の仕事に活かしていてきたいと
思います。
都合がよろしい日には、ぜひまた、ご一緒にお食事でも行きましょう。
今後ともよろしくお願いいたします。
さっきの文章に数か所、句読点を追加しました。
句点(。)は基本的には文の最後に付ければ問題ありません。
大事なのは読点(、)です。この読点が落語のような「間」を生み出してくれます。
2文目の「お忙しい中相談に乗って…」の部分で【、】を入れることで漢字の連続を
避けています。
漢字は文字次第では別の熟語として読まれ、相手に意味がうまく伝わらないことが起こります。
文脈から理解することはできますが、少しでも「ん?」と思わせるのは相手にとって時間の無駄です。
「ぜひまた」の前後に【、】を入れることで、ひらがなの連続を避けるとともに
その後の文章をより強調させています。
短い文にすることで素早く読ませる
句読点の説明でも触れましたが、長い文章を一気に読むのは読み手にとって
苦痛に感じます。
読点で区切りをつけるのもいいですが、そもそも一文が短ければ
読み手はそこで区切らざるを得ません。
先ほどの文章の短い文章にまとめるとこうなります。
こんにちは。
昨日はお忙しい中、相談に乗っていただきありがとうございました。
ご飯とても美味しかったです。
楽しくて時間がすぎるのがあっという間でした。
田中さんの貴重なご意見参考になりました。
今後の仕事に活かしていきたいと思います。
ぜひまた、お話聞かせてください。
今後ともよろしくお願いいたします。
文章を短くすることのメリットは区切りがつく他に
目線の横移動が少なくなる
という点もあります。
一文が長くなれば目線の横移動が多くなります。これも読み手の負担になります。
リズムよく次の文章につなげるためにも短文を心がけることが重要です。
まとめ【文章は音読して読み返そう】
読まれる文章はリズムが大事です。
読む → 考える → 理解する
これが文章を読んで内容を理解するまでの流れです。
まずは読んでもらわないことには始まりません。
自分の文章にリズムがあるかどうかを確認するには声に出して読むことです。
つまり…
音読すること
自分が読んでみて心地のいい文章はほとんどの場合、他の人が読んでも心地よく感じるものです。
できあがった文章はしつこいぐらいに音読して読みやすいか確認しましょう。
自分自信がその文章の最初の読者であることを意識してみてください。
それでは今回はここまでっ!!
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